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上野樹里がドラマで性同一性障害の役を演じた「ラスト・フレンズ」が凄い

上野樹里

上野樹里さんの名前を聞いたとき、多くの人の脳裏に浮かぶのは、やはり野田恵………すなわちのだめの、天真爛漫な笑顔だと思います。

明るく真っ直ぐなのだめのキャラクターは、視聴者をいつでも元気にしてくれました。

のだめの印象があまりにも強い上野樹里さんですが、その後も卓越した演技力で、様々な姿を見せてくれています。

例えば日曜劇場「テセウスの船」では、義父の無実を信じ主人公を励ます優しい「田村由紀」と真実を追い求める記者の「岸田由紀」、2つのタイプの「由紀」を見事に演じ分けました。

そんな上野さんが出演し、性同一性障害の役を演じた「ラスト・フレンズ」というドラマが衝撃的な作品だったらしいのですが、一体どんな作品だったのでしょうか。

詳しく調べてみたいと思います。

目次

2008年のドラマ「ラスト・フレンズ」

上野樹里 長澤まさみ 瑛太 水川あさみ 錦戸亮

「ラスト・フレンズ」は、2008年4月10日から同年6月19日まで、フジテレビ系列で放送されたドラマです。

主演に長澤まさみさん、共演者として上野樹里さん・瑛太さん・水川あさみさん・錦戸亮さん(当時は関ジャニ∞・NEWS所属)と旬の俳優さんや女優さんが多く出演していたことで、話題となりました。

また、描きにくいとされてきた若者が抱える様々な問題を、ハッキリと真正面から捉え、映像化したことも大きな評価を受けています。

先の読めないストーリー展開で、初回は13.8%だった視聴率はどんどん上がり、最終話では22.8%。

平均視聴率も17.7%と高い数字を記録しました。

最終回の翌週には、特別編と称して新撮シーンも加え再編集した総集編が放送されましたが、これも17.4%と高い視聴率になっています。

これらのことから「ラスト・フレンズ」は、「第57回ザテレビジョンドラマアカデミー賞」で最優秀作品賞・錦戸さんが助演男優賞・上野さんが助演女優賞を、「第5回TVnavi ドラマ・オブ・ザ・イヤー2008」で瑛太さんが助演男優賞・上野さんが助演女優賞など、多数の賞を受賞しました。

他にも、主人公を含め中心となる5人の悩みや抱えるものを、今後のストーリー展開を示唆させるような描写のオープニングカットや、宇多田ヒカルさんによる主題歌「Prisoner Of Love」など、見れば見る程作り込まれていて、時が経っても色あせないドラマとなっています。

上野樹里が性同一性障害を演じるなど衝撃的な作品

上野樹里

このドラマでは前述の通り、若者たちが抱える様々な社会問題を、ハッキリとリアルに描いたことで話題となりました。

話はシェアハウスを中心として、そこでの暮らしを主人公が回想する形で進みます。

若者たちはそれぞれ、深い問題を抱えています。

まず、上野樹里さんが演じた「岸本 瑠可」は、男勝りでボーイッシュな、全日本選手権での優勝を目指すモトクロスの選手です(モトクロスとは、競技専用車を用いて専用コースで順位を競う、オートバイ競技の1つです)。

最終話では優勝を果たしました。

実は性同一性障害という誰にも言えない苦しみを抱え、さらに中学・高校の同級生である主人公の美知留に、恋心を抱いています。

(ちなみに作品中において瑠可は「性別違和症候群」と診断されていますが、これは性同一性障害とイコールではありません。脚本の浅野妙子さんによると、性同一性障害の当事者に「これはレズビアンである」との指摘を受けた上で、「性同一性障害とレズビアンの中間」という設定をしたそうです。性的マイノリティー(日本ではLGBTと呼称されることが多いです)は、非常にデリケートな問題です。作品を視聴する場合は、「これが性同一性障害だ」と思い込まないように、くれぐれも注意してください)

長澤まさみさん演じる主人公の「藍田 美知留」は、母子家庭で育ち、働いていた美容室では先輩からいじめを受け、家でも職場でも居場所が得られない女性です。

優しい反面、優柔不断で流されやすく人を信じやすいために、恋人の宗佑による激しい束縛やDVに悩まされます。

救い出してくれたタケルに惹かれていき、宗佑の手を逃れるために「好きな人ができた」と宣言するも、逆恨みした宗佑によりシェアハウスの友人たちが嫌がらせをされることに罪悪感を募らせ、挙句の果てには別れるという嘘で呼び出した彼にレイプされ、妊娠までしてしまいます。

瑛太さん演じる「水島 タケル」は、心優しく温和で人当たりが良く、シェアハウスの女性たちにとって良き相談役ですが、幼少期に義理の姉から性的虐待を受けたという壮絶な過去を持ち、それが原因でセックス恐怖症に悩んでいます。

瑠可が美知留に恋をしていると知っていて、それでも瑠可に惹かれ告白し、フラれてもなお彼女を支え続けます。

水川あさみさんの「滝川 エリ」は、明るくサバサバしたムードメーカーですが、誰よりも孤独と寂しさを感じやすい性格です。

恋多き女性である一方、「永遠の愛」を信じておらず、セックス依存症に陥っています。

そして錦戸亮さんの「及川 宗佑」。幼少期に母に捨てられ親戚中をたらい回しにされたことで正しい愛し方の分からない彼は、美知留を思うが故の強い執着心と異常な独占欲で、美知留を監視・束縛しDVを行いました。

別れるフリで呼び出した美知留をレイプし妊娠させましたが、美知留がシェアハウスの住人に囲まれ笑顔で映る写真を見て、自分が彼女の支えになれないことに気付いた彼は、自ら命を絶ってしまったのでした。

性的マイノリティー、DV、性的虐待、セックス依存症、さらには自殺。

恋愛の要素もありながら、非常に重い問題を多数描いたこのドラマは、軽い気持ちで見られるものではなさそうです。

衝撃的、という表現が、まさに合っていると思います。

9年後に関西地方の再放送でtwitterトレンド入り

上野樹里 長澤まさみ 瑛太 水川あさみ 錦戸亮

大きな話題を呼んだ「ラスト・フレンズ」は、9年後の2017年、突如Twitterでトレンド入りし、ファンをざわつかせました。

トレンド入りの理由は、関西地方限定での再放送が行われたことによるものです。

2017年の時点では全員揃えるのが難しそうな人気俳優・女優たちの若い頃が見られ、話自体もしっかりした作りの人気作。

それが関西のみで放送されたことに、ファンたちからは

「えええええええ関西限定??見たい…」
「関西うらやましい」
「ラストフレンズめちゃくちゃ懐しい…」
「毎週絶対見てたやつ」

と作品を懐かしんだり関西地方の人をうらやんだりと様々な声が上がり、ドラマに関する投稿が広がりました。

また同時期には、テレビ朝日系列のドラマ「奪い愛、冬」も放送中でした。

こちらは三浦翔平さんの怪演も話題になっていましたが、三浦さんの役と「ラスト・フレンズ」での錦戸さんの立ち位置が似ていることで、

「三浦翔平も十分怖いけどあのとき宗佑さん(錦戸)は圧倒的だった…」
「三浦翔平を凌駕する錦戸亮さん」
「錦戸さんのドラマで怖すぎて唯一見られないドラマ」
「トラウマドラマ」

と思い出して比較するファンの声も少なからず見られました。

9年経っても視聴者の中に色濃く残るというのは、まさに作品の質が高かったからこそなのでしょうね。

まとめ

上野樹里

今回は、上野樹里さんが出演した2008年のドラマ「ラスト・フレンズ」について調べてみました。

このドラマは、若者たちのリアルな悩み・苦しみを描き、衝撃的なラストを迎えた作品でした。

作中で描かれた社会問題は、現在も決して解決せず、密やかに当事者を苦しめている事案ばかりです。

例えば性同一性障害を含む性的マイノリティーは、放映当時より知名度こそ上がってきたものの、まだまだ社会の認知度・理解度は低く、親にもカミングアウトできないパターンは多いです。

DVや虐待に対するセーフティーネットも不十分ですし、セックス依存症は本来精神疾患として正しく治療されるべきでありながら、日本では医師やカウンセラーの中ですら認知されていないことがあり、「セックス中毒」と呼称されるなど強い偏見が根付いています。

当事者ばかりに対策を丸投げした結果が、放映後10年以上が経過してもほとんど進歩が見られない現在の状況なのです。

昔は何も感じなかったという人も、時が経って改めて視聴すると、何か思うところがあるかもしれません。

もちろん、そういう難しい問題を置いておくとしても、いまや大河ドラマの出演経験もあるような俳優さんたちの若き日の演技は、一見の価値ありです。

興味を持った人は、ぜひご覧になってみてくださいね。

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